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また、こうした外出行動に伴う「交通安全」についてみると、高齢者の事故は高齢化社会の進行に伴い増加し、交通事故死も1995年には65歳以上の者が全体の30%を超えるに至っている(「交通事故統計」1995年警察庁)。その内訳では、「歩行中の事故死」が約半数を占めており、歩行中の死者数に占める高齢者の割合は年々増加し、1995年では55.5%である(図2−3−7)。また、高齢歩行者の死傷事故の約6割が自宅からわずか500メートル以内で発生している(図2−3−8)。車社会に対応した対策や歩きやすい歩道の整備が立ち遅れていることが最大の原因となっている。都市における道路環境は、経済先進国中最低といわれており、日本人の4人に3人(75%強)が、「ふだん道を歩いている時に、自分が交通事故にあいはしないかと不安」に思っている(「交通安全に関する世論調査」1991年総理府)(図2−3−9)。今後の課題としては、歩行環境の整備、公共的な場所や建物を含めたバリアフリー化は全国の都市地域で早急に推進されなければならないし、高齢化進行に伴う巨大な社会ニーズがそれを促進するものと考えられる。

 

図2−3−7 歩行中の死亡数に占める高齢者の割合

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資料:1995年「交通統計」(交通事故総合分析センター)

 

図2−3−8 自宅からの距離別事故件数

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資料11994年「交通事故統計」(警察庁)

 

 

 

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